
西日本新聞 2006年10月12日(金)
ふるさとへ論ふるさとから
「動物と共存する社会へ」
NPO法人福岡どうぶつ会議所 理事長 島田隆一さん(40)
鉄格子越しにこちらを見つめる目。「もう人間なんて信じない」そんな叫びが聞こえてきそうで、胸が苦しかったことを今でも鮮明に覚えています。
特定非営利活動法人(NPO法人)「福岡どうぶつ会議所」は、飼い主から捨てられ、殺処分される犬猫を減らす活動をしています。そのきっかけが、全国の動物管理センターで安楽死処分される直前の犬や猫を撮影した写真集「どうぶつたちへのレクイエム」(桜桃書房)を目にしたことでした。「癒やし効果」という言葉とともに拡大していく「ペットブーム」の陰には、こんな現実があったのです。
育てきれずに飼い主が動物管理センターに持ち込んだり、捨てられたのを行政が捕獲したりした犬猫は、多くが殺処分されます。福岡県の場合、年間約二万五千匹。年金からえさ代をやりくりするおばあさんなど、捨て犬猫を保護して育てている多くのボランティアの協力などで少しずつ減少してはいますが、2001年までは7年連続で全国最多でした。
私たちは、ボランティアが保護している犬猫の情報をホームページや事務局に掲示して、動物を飼いたい人と結び付ける橋渡しをしています。また管理センターから処分対象の一部を引き取り、新たな飼い主を探す活動にも力を入れています。しかし、それで救える命はごくわずか。捨て犬猫の捕獲に国が費やす予算は年数十億円にも上るそうです。そのうち少しでも、こうした活動への補助に使う方が効果的なことに気付くべきなのですが。
「転勤でペット禁止のマンションに引っ越すので」「子どもが飽きて世話をしなくなった」…。動物管理センターに「命」の引き取りを依頼する際の理由をみると、多くは飼い主の身勝手そのものです。その意味で、私たちの活動は「動物愛護活動」というよりも「飼い主のマナー・モラル向上活動」なのかもしれません。
人間の世話なしで生きられない、弱い立場にある犬猫の生命を軽視する社会が、人間に優しいはずはありません。旅行者や外国からの客が、心にぬくもりを感じる街になれるでしょうか。だからこそ、私たちが取り組んでいる「犬猫を殺さない街」の運動は、地域づくりの基本になるのです。
私たちは4年後をめどに、動物管理センターから二百匹規模っで犬猫を引き取り、子どもたちとの触れ合いの場ともなる「動物保護シェルター」の建設を目指しています。動物を殺害するための施設ではなく、動物との多様な出合いのための施設が待ちに整ったとき、人と動物の共生も現実になる気がしています。
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