体感>>>トライやる
飼い主の身勝手さから犠牲になる犬や猫が後を絶たない。福岡市だけで04年度に3735匹が保護され、その9割が殺処分される動物を減らそうと取り組むNPO法人「福岡どうぶつ会議所」(島田隆一理事長)の活動を手伝わせてもらった。そして分かったのは、動物を飼わない人間も含め、社会全体が現実を知ることの大切さだった。(寿柳聡・36歳)
ペットの処分 減らすNPO活動
命に明暗 現実知って
「この団体に入っても会員が犬と猫に接することはほとんどありません。」会議所活動拠点、福岡・天神のカフェ「de[i]」で総務委員長の松下由香さん(27)が地味な活動であることを説明した。
【写真】福岡どうぶつ会議所の松下由香さんたちとパネル展の設営をする記者=福岡市中央区清川3丁目で
写真展で社会へアピール
店には、新しい飼い主を待つ犬や猫の写真約80枚を入れたファイルが置かれている。 一般家庭で飼えなくなったり、一部は動物管理センターから会議所に譲渡され、協力家庭で預かられている動物たちで、引き取り手探しのきっかけづくりをしている。
こうした仲介のほかに、力を入れているのが写真展だ。 西日本シティ銀行那の川支店(福岡市中央区清川3丁目)で、今月末まで開くための設営作業に同行した。 ここで紹介する写真は、動物管理センターで処分される運命の犬や猫、対照的に新生活を始めた犬の写真など計20枚で、三つのボードに張り付けていった。
明と暗がくっきり分かれる構成になっている。 編集職場で写真特集を経験した私も、効果的な写真の並べ方などを提案させてもらった。
会議所には相談も多く寄せられる。 首をかしげるケースも多い。 女性から 「赤ちゃんがペットアレルギーだから新しい飼い主を捜して」 という電話があった。 尋ねると医師の診断を受けたわけではないらしい。 「お母さんになったあなたが、推測で命を簡単に放棄していいんですか」
会議所は、福岡青年会議所が2000年10月に開いた動物の写真展を機に設立された。 会員は現在80人。 2010年の完成を目標に、動物を一時保護する 「シェルター」 づくりのための募金活動にも取り組んでいる。
会議所が、動物の譲渡を受けている福岡市西部動物管理センター(同市西区内浜1丁目)にでかけることにした。
保護された動物が、3日間留め置かれるセンター抑留棟。 おりの中でおとなしく座った白い中型犬に、2匹の小型犬がほえている。 この日は10匹の犬が保護された。
棟内は明るく、床も清潔だ。 職員が掃除やえさやりをする。 保護中の犬を譲ってほしいとの申し込みがあれば、職員が自宅に出向いて、家族構成も含めて本当に飼える環境かどうか調べる。
殺処分の場であるセンターは、命をつなぐ拠点でもある。 出かける前に松下さんからも 「センターには二つの面がある。しっかり見て下さい」 と言われた意味を理解した。
福岡市の東西にある二つの動物管理センターに収容された犬だけで、2004年度は計770匹。 うち295匹は、即日殺処分を承知で飼い主が持ち込んだ。 残る475匹も、飼い主が鑑札さえちゃんと付けていれば、家に帰れた犬も少なくないという。
写真展などで飼い主に対する社会の厳しい目を育て、飼い主の自覚を促すことが先決だ、という松下さんの考えに、うなずくほかなかった。 展示を見た人が 「かわいそう」 で済まない現実を知り、どうあるべきか一緒に考えてほしい―――。 そう願った。
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